第2回 在宅医療連合学会
みなさま、こんにちは。
先週末は日本在宅医療連合学会のオンライン学会でした。
参加した(というか視聴した)プログラムはこちら。
・シンポジウム4 在宅医療の質とはなにか?
・シンポジウム17 病院が実施する在宅医療の現状と課題
・基調講演2 これからの日本の在宅医療はいかにあるべきか
・シンポジウム41 指導医大会
・シンポジウム54 訪ねる、集う、出かける、育つ。~医療的ケア児に在宅医療と共に居場所を届ける~
まずはあらためて感じた、リアルとオンラインの違いについて。
リアル | オンライン | |
集中力 | 高いことが多い (睡眠欲が勝つこともしばしば) |
途切れがち 邪魔が入りがち(子供とか子供とか子供とか…) |
感動 | 講師の熱量に影響を受けることあり | スライドの美しさに胸打たれることあり |
学び方 | その場でPCにタイピング | とりあえずスクリーンショット! 内容は後で記述orタブレットに記録 |
負担感 | 移動時間、宿泊手配などの手間あり | 家でつなげるだけ 楽ちん |
付加価値 | 思わぬ人との出会いあり 日常を離れたリトリートの側面あり |
家族にも見せることができる (医療関係者ならなおよし) |
また、音声の途切れやスライドが出ないなど、オンラインならではのトラブルも多々見られました。
個人的には、やはり学会の魅力は「人とつながる」ことで「可能性を広げる」ことなのかなと思います。「新たな知見を得る」ことはこのご時世、他にもいくらでも手段はありますし。
コロナ禍が早く収束に向かうことを祈っています…
次に思ったことは「日本プライマリ・ケア連合学会の知り合いめっちゃ出てるやん!」です。それもベテランだけでなく若手も。そういうプログラムを選んでいるだけかもしれませんが、この2つの学会の強いつながりを感じました。
さて、内容の方にうつります。
※スクショしたスライドは基本的には共有厳禁なので、載せられません
シンポジウム4 在宅医療の質とはなにか?
「医療の質」は様々な分野でホットなトピックだと思います。「質が高い」ことをどのように定義し、評価し、改善していくのか。どのプロセスも一筋縄ではいきません。
その概論から在宅分野での応用まで発表されていました。
出てきた中で勉強になりそうなキーワードをいくつか。
・SDM(Shared Dicision Making)のないEBMはエビデンスによる圧政(evidence tyranny)に転ずる
・Informed consentは医療者が専門知識と経験で良いとされる答えを知っている場合に、Shared dicision makingは医療者も患者さんもどこに着地するかわからない場合に、用いられる
・Donabedianモデル
・質向上のために用いられるもの
病棟レベル:クリニカルパス
病院群レベル:QI(Quality Indicators)
・QIの落とし穴:その項目だけを見るようになる、満たそうとする
・在宅診療のQI作成のために、関連領域の質評価から学ぶ
緩和ケア:J-HOPE、遺族による質評価:CES(Care Evaluation Scale:構造・プロセス評価)、GDI(Good Death Inventory:アウトカム評価)
・在宅ならではの質評価って?→基本的価値(Value system)が重要
患者中心性、EOL(End of life)ケア、UHC(Universal health coverage)、
総合性・俯瞰性、責任性・継続性、暮らしの場への医療とケア、
Medical Home、医療の社会性とInterdisciplinary care
・在宅医療の質に関する系統的レビューが今、進行中(やまひー先生!)
・患者が報告するアウトカム:PRO(Patient-reported outcome)
自己記入式でも面接法でもよいが、他者の修正や解釈が入らず測定・評価されるもの
・症状評価:疾患特異的QOL
・機能
・健康状態についての知覚(general health perceptions, HR-QOL):SF-36
・一次元的なQOLを効用値としたもの:EQ-5D
・生活の質(QOL):SEIQoL
・ヘルスケアの介入評価:DRS
・ISOQOL(International society of QOL):PROの学会
・DRS(Decision Regret Scale)
経験した意思決定(気切、PEGなど)についての期待喪失感を測るもの
・SEIQoL-DW(The schedule for the evaluation of individual QoL-direct weighting)
・新しい健康概念:the ability to adapt and self manage
ふぅ…
聞きながらでは到底理解しきれなかったですが、振り返ってみても難しい。
シンポジウム17 病院が実施する在宅医療の現状と課題
ここは大杉先生や吉田先生の話を普段から聞いているので、真新しいことはなし。
うちの病院も変えていかなければ…
基調講演2 これからの日本の在宅医療はいかにあるべきか
日本在宅ケアアライアンスの定めた「基本文書」というものの共有
シンポジウム41 指導医大会
・ヤーキーズ・ドッドソンの逆U字
・IZOF理論(individual zone of optimal functioning)
・3つのzone:最近接発達領域(ZPD:Zone of proximal development)
・在宅での教育の特徴
・Awayの場 → 患者安全の担保、医療者の評価が困難
・支援の仕方 リモート/車で待機/同席 どれを選ぶか
・ヘルプサイン/ブレーキサインを決めておく
・臨死期は待ったなし、救急医療と酷似 → 学習者にやらせづらい
・医学的妥当性よりも患者家族の意向の比重が大きい → 正解がわかりにくい
・コミュニケーションも技術である
事前の練習・シミュレーションが大事
理論的根拠を教えるのも大事
(四分割表、EBM、クネビン、Difficult patient encounterなど)
・弓削の辻岡先生の発表、スライドが綺麗すぎてびっくり
・在宅専門医制度の説明
・2020年の試験は9月に筆記試験、10月にWebで進めている
・実績が不足し専門医更新が難しい場合は認定登録医とすることもできる
・暫定指導医は2020年3月で終了
シンポジウム54 訪ねる、集う、出かける、育つ。
医療的ケア児の家以外の居場所をつくる様々な取り組みの紹介でした。
日本財団がこういった新規的な事業は支援してくれることがあるので10月までに申請を。
夢を持って奮闘すること、あらためて大事だなと思いました。
自分の夢、しっかり形にして発信していかないと。